土屋モニカさんとの出会いは2020年、ホームページ問い合わせから取材希望との連絡を頂いたことがきっかけでした。ご自身の日本庭園好きが高じて執筆しようとなったそうなのですが、私たちのつくる庭はどちらかというと、いわゆるトラディショナルな日本庭園ではないというか、どちらかと言うと現代住宅に合うナチュラルな庭が多いので、最初は取材先がうちでいいのかな?なんて風にも思いました。しかし話をしていくうちに、私たちが持っているデザインの芯の部分にある日本的な考え(自然を切り取るとか借景の概念、茶庭に見られるような必然の美しさ、わびさびのような精神性)にすごく感銘を受けられ、取材協力をさせて頂く事となりました。
本の題名は「Kolaż o ludziach i Naturze. Moja droga ku japońskim ogrodom」日本語では「人間と自然についてのコラージュ。日本庭園へ向けて私だけの道」となり、沢山の京都の和庭、老舗の造園屋さんや材料屋さん、そして私たちのような新しい世代の造園屋など、取材先は多岐にわたり写真も綺麗で多いので、かなり見ごたえのある本になっています(ポーランド語版のみ)。
本の中身の一部を紹介すると、ポーランドの方々が理解しやすいように日本庭園の説明をイラストで説明されている部分があります。ユーモアも感じますし、とても丁寧に書かれた本なのだという印象を受けます。
私たち植威については、現代住宅に合わせた庭のデザインを和の精神を持って行っている、というような紹介をして頂いています。
丁度取材の頃、滋賀県の北部で古材の延べ石や板石を使った駐車場アプローチが特徴の外構を施工していました。とにかく広い庭で、石材を敷き詰める部分だけでも100㎡は裕に超えており、地形に合わせたうねりのあるレベル調整もありなかなか難易度が高く、達成感の味わえる石畳でした(大変でした・笑)。建築が住友林業さん、雪国なのでカーポートも必要という中での外構計画だったので、「和」を感じつつも現代の雰囲気に違和感を覚えないような、木々(ソフト)と建造物(ハード)を上手くつなげる役割を持たせる石畳がコンセプトでした。本のスケジュール的に完成写真は間に合いませんでしたが、この現場で庭づくりについての想いをたくさん聞いていただきました。
紹介させてもらった内容以外にも、日本庭園についてや人物のストーリーがたくさん描かれており、モニカさんの情熱を感じざるを得ない本となっています。庭という文化を通して、ポーランドと日本の架け橋になるような一冊になればという想いもお持ちです。ゆっくり、じっくりと、交流が生まれていければ、本当に楽しそうだなぁ。
本が出版され、ポーランド国内ではクラクフの日本美術技術博物館に置かれていたり、日本文化のイベントなどで精力的にプロモーションが行われています。私たちも蔭ながらではありますが、モニカさんたちの活動を応援していきます。