私たちが目指すもの

素直さと柔軟さと誠意をもって

私たちは、常にお客さまの事を第一に考えています。まずは素直に柔軟に、お客さまの想いや、希望をしっかりお聞きします。提案は、空間や風景、使い勝手などが伝わりやすいように、図面やイメージスケッチなどで丁寧にご説明します。

また、素材の事などの色々なメリット、デメリットや、耐久性や費用のことなどをきちんとお話しします。

目先の事ではなく5年後、10年後、その先の事を想像し、より良い方法を丁寧に見出し、流行に流されない本質的な空間をご提案します。

家造りや庭づくりはなかなか大変なことです。お金もかかり、考えないといけないことも多い。家族の意見がまとまらず嫌になる事もあるかもしれません。しかし、人生の内で何回も出来る事ではないので、ぜひそれらを乗り越えて楽しみたい大きなイベントの一つだと、思います。

そのお手伝いを、素直さと柔軟さと誠意をもって、やりたいと考えています。

目指すのは、豊かな風景造り

デザインには、心を明るくする力があります。豊かな空間は健全な心を育て、癒しや、潤いを与えてくれます。
私たちの考えるデザインとは、間取りや使い勝手、メンテナンスのし易さなどの機能性に始まり、住み手使い手のライフスタイルや感覚にしっくりくるものの追求。そして自然との繋がり、内部と外部との連続性、心で感じるストーリーです。

日常に「わくわく」を感じてもらいたい。ご自分のスタイルを大切にした、明るくストレスの少ない空間、自然のある豊かな風景、それを、旅先の宿でも雑誌の中にでもなく、自分の住まいやオフィスなどの日常に取り入れるという事は、ライフスタイルや人生を、確かに豊かなものにしてくれます。

良い風景が少しずつ増え、美しい町並みとなり、人々の心が、ほんの少しわくわくする。道行く人が挨拶を交わし合い、「いい感じのお庭ですね」などと会話が生まれ、雰囲気のある町になってゆく。そんな風景を目指しています。

庭と建築を一緒に考えるということ

新築外構で建物が先にある場合でも、何もない所から考える場合でも、いつも外と中の関係を意識しながら計画しています。部分的にではなく、大きい視野で物事を考えると、必要なもの、そうでないもの、ほんとうに大切なことが見えてきます。

家と庭は本来切っても切り離せないものだと思うのですが、近年の日本の住宅事情を見ていると、「建物を先に建てて庭はそれから考える」というケースが一般的になってしまっているように思います。
建物の配置や形で、庭の取り方は大きく変わります。例えば、建物を敷地に対して少し振るだけでも、庭が変形し、遠近感のある植栽計画が出来る場合もあります。もちろん、敷地の形、周りの状況や方角のことも有るので、いつもそうすれば良いというわけではありませんが。

建築の計画段階から、外構・庭を一緒に計画することで、建物だけ考えるよりも可能性が広がります。自然を内部に取り入れたより豊かな空間造りや、敷地全体を無駄なく使ったより機能的な空間造りが可能です。全体予算も把握しやすく、広い範囲で調整していけるので空間全体のバランスも良くなります。
初期段階から建築家や工務店と造園家がタッグを組み、設計していく。これは良い空間を造っていくためにも、効率よく計画を進めて行くためにも、豊かな風景造りのためにも、とてもいい手段だと考えています。

素材へのこだわり

植威では、基本的に出来るだけ自然素材をご提案します。
経年劣化するアルミ既製品などは、機能的で良い場合もありますが、やはり木質や、石質や、左官など、経年変化を楽しめる素材を、出来るだけ使いたいと考えています。

木材は種類によっては5年程度で腐ってしまいますが、塗装などで耐久年数を上げることも出来ますし、ハードウッドと呼ばれる木材ですと、地中や水中でも20~30年腐らないと言われるものもあります。

石や左官も、経年で錆びが出たり苔が生えたりしますが、その年月が愛しく思えるような素材が、豊かな風景造りに一役買ってくれるのです。

植栽については当然のことですが、土地柄に無理のないものを選定するよう心掛けています。日の当たりにくい場所なら日陰に強い植物、寒い土地なら耐寒性のある植物、自然の摂理に逆らわず、無理なく自然に生きられるように。

また、基本的に、木は実際のものを見て選ぶようにしています。例えばシンボルツリーを植えたいとして、「高さ5メートルのカツラ」と言っても、樹形は様々です。株立ち、一本立ち、葉張りの大きさ、枝の密度、曲がりや、傾きもあります。

木にはとても個性があって、空間を造る力を持っています。なので、木選びはとても重要で、面白いのです。

土へのこだわり

植物の生育には、水、太陽、温度、土など、様々な要素が必要です。人の手が入らない森では、太陽の光が必要な木々は上に伸び、日陰を好むものは高木の木陰で育ち、弱かったり環境に適応できない植物は自然と淘汰されてゆきます。落ち葉が腐葉土となり、そのふわふわとした土は空気を沢山含んでいて、適度な栄養があり水はけが良いので、しっかりと根を張ることが出来ます。だから森の木は、生き生きのびのびとしているんですね。
しかし街中は状況が違います。地面は踏み固められ、植物が育つのに好ましい土ではないことがほとんどです。特に造成地などで表土が削り取られたりしています。ドイツやイギリスでは表土復元(工事前に表土を集めておき造成後に戻して、表土層を復元する事)の基準が設けられていますが、日本においては残念ながらそのような基準はありません。

もちろん、土壌改良しないでも、何年もかけて必死に根を張って生きる強い木もありますが、山から根を切って移動されてきた木にとって、土壌改良をしていない固い土壌というのはとても過酷な環境で、枯れる確率が非常に高くなります。短期間でスムーズに根づかせるために、適切な土壌改良が必ず必要だと考えています。
実際、「新築した時に何本か植えた木が、1、2年でことごとく枯れていくので見てほしい」と近所の方から相談され調査してみると、適切な土壌改良がされていなかったという事もありました。大切なのは土なんです。植えた瞬間は目に見えませんが、土が良くないと植栽というのはなかなか良くなりません。

土壌改良していく上でその土地がどのような状況か知ることがまず重要です。土壌は、ポドソル(褐色森林土)赤・黄色土、黒色土、グレイ、泥炭土、未熟土などに分類されます。関西では褐色森林土が多くを占めているので、これをベースに考え、植栽する樹種など様々な諸条件を考慮し、水はけを良くしたりあるいは水もちを良くしたり、PHの調整などを行っています。

また、土壌は様々な大きさの粒子の集合体です。人間の手によって撹乱されていない自然林や草原の土壌断面は、まず上から、落葉や落枝など有機物だけの層、次に腐葉土、腐植層、腐植に富む暗色のA層。ここまでが園芸農業材に共通しての「土壌」と言えます。

植威では、バーク堆肥、腐葉土、木炭、草木灰、ピートなどをブレンドし、植栽に適した土壌を作ります。土地条件や樹種によって、オリジナルでブレンドしています。
腐葉土は、剪定で出る剪定くずで作っています。畑に野積みし、太陽の光や風雨にさらされ、ゆっくりと発酵していき、5年ほどでふかふかの腐葉土が出来上がります。純粋な木々の枝や葉っぱだけで、化成肥料のような過剰な栄養は入っていないので、新しく植わる木々に負担がなく、じっくりと成長を促します。

デザインや植栽の美しさはもちろん大切ですが、水はけや土といった、基本的なことがおろそかになってはいけません。これから先、末永く家族とともに成長していく木々は、突然新しい環境にやってくるのです。数年後の未来を見越して環境を整え、迎えたいものです。