コラム

土いじりってホント楽しいですよねー。
夢中になって気が付いたら、あららもうこんな時間。
お客様の依頼でしたが作っている私達が羨ましいなぁと思うほどでした。

工事の間、元々の畑の表土を半年間お預かりして完成後オリジナルの土と表土を撹拌しました。代々続いて畑をされていましたので、その表土は大切で、中々ここまで熟成された土に近づけるのは困難です。大半は真砂土(少し泥気が入っている真砂)をベースにバーク堆肥、木炭、フミライプA(牛糞)、草木灰を混ぜていきます。配合は土の量によって変わっていきますが、今回は表土がありましたので、随分助かりました。
バーク堆肥は色々種類がありますが、くつきバーク堆肥を使用しました。建築廃材や汚泥が入っているバーク堆肥がありますが、くつきバーク堆肥は国産の広葉樹の木質樹皮とJRA栗東トレーニングセンターのサラブレッドの寝床に使われていた木質チップが原料です。安心して使用できますね。木炭は、水捌けがよく殺菌効果もあります。

後、元肥として牛糞を鋤き込みます。発酵は完熟牛糞(オガ屑入り)を6か月以上発酵させて。非常に元肥としてパワーあります。近年、食の安全の関心が高まる中、化学肥料を中心とした方法から土作り中心の有機農法に変わりつつあります。凄いいいことだと思います。
草木灰もこの一つで、カリウムを多く含む肥料で、有機肥料として牛糞はカリウムが少ないのでこれを補う天然の有機肥料として活躍します。石灰と同じで与えすぎるとPHが大きくアルカリ側によりすぎて害が出ますので、入れる量は注意が必要です。

そして大事なのは撹拌作業です!
地味な作業ですが一番重要かもしれません。
ですが、最初に「土作りは楽しい!」と言った通り、夢中になります。
そしてこんな気持ちにもなります。「嗚呼、これが自分の畑だったらなぁ...」 (笑)

都会や街中でお庭はもちろん畑を持つのは大変難しい時代ですが、土に触れて気持ちがいい感覚と、そこから生まれるコミュニケーションがあり、色々想像するだけで、作っているこちらも顔がニヤけてしまいます。

さぁこれで一段落。有機肥料を入れましたので、最低一週間はおきます。今からだと春先の野菜の収穫が楽しみです。

今回、約50センチの深さまで鋤とって新しい土をつくりいれました。これだけフカフカですと根菜も期待できますね!これでも畑としてはスタートだと思います。年々改良してどんどん良い土にしていってもらえたら光栄です。そしてお孫さんと畑を通じて勉強もしてもらえたらなおいいですね。

小さな畑のあるお庭では木・金・土と、食堂もされております。そこで出てくる料理はどこか懐かしくとてもやさしい味です。おふくろの味的な。
一手間も二手間もかけてつくられています。季節によって旬な物が食べられるのも嬉しいですね!

大津市坂本「おうち食堂tuku-ta」
https://www.facebook.com/tukuta/

最初のお庭の工事のコンセプトは「食べられる庭」でした。春にはフキノトウが顔を出して、コゴミ、タラの芽等々…。お庭で収穫してその食材が食べられるというスタンスでお店から見た庭と畑と観られる様に。
これがなかなか難しく、今回の敷地内の新築に伴い、アプローチや新たな植栽(ジューンベリー)も加わり、まとまりよく仕上がったと思います。
タラの木や無花果、ブルーベリー、キイチゴ、山椒、レモンにキンカン、柚木、スダチ。宿根系ではフキ、ギボウシ、蕨、コゴミ、ウド、後は…?忘れました(笑)山菜系が多いですね。そうそう!ヨモギもわざと植えています。新芽は天ぷらにしたら美味しいし、冷凍保存しておけばお正月前にヨモギ餅に使えます。

魅せるお庭と畑…。限られた空間の中で庭と畑が両立して機能的。やはりどんな庭でも落ち着くまでには数年かかりますが野原を切り取ったかのような春先にあちこちから芽吹いて、ワクワクできるようなそんな空間になって欲しいですね。

このお庭つくりを通して思ったことは、野原や里山の風景も、山の木立の中も、ある程度人の手が入って造られている風景と全くの手付かずの自然とは全然違うのだという事。
人の手が入って造られている風景は作りすぎない事。そこに面白さがあるのだから。主となる土をしっかりしておけば、後は時間に任せようと思います。
私の予想では3年後くらいにはすっかり落ち着いて、庭の木々も下草類もいい表情を見せてくれるでしょう。

写真は竣工後間もないですが、3年後の写真もお楽しみに!