植威では、基本的に既製品を使わず、経年劣化ではなく経年変化を楽しむことの出来るお庭の造園や外構の提案しています。今回は、庭の間取りに欠かせない階段、スロープ、テラス、デッキについて、まとめてみました。
階段・スロープ
道路から段差のある敷地の場合や庭から家に入るのに、段差をどのように解消するか、というのは、とても大切なポイントです。もちろん、あっさりとモルタルで作ってしまうという場合もありますが、植威でよく提案させて頂くのは、階段石を据えるやり方です。板石貼りやタイル貼りの階段はよくあると思うのですが、階段石(つまり石の塊)を据えて階段を造っている一般住宅は、あまり見ないと思います。なぜかというと、石はとても重いので、施工が大変だからだと思います。しかし、植威は石の据え付けなどは非常に得意としていますので、左官仕事の石貼り等で階段を造るよりも、材料費は少し高くなるが手っ取り早い(日数がかからない)ので、費用的には安くなることが多いのです。それでいてダイナミックなデザインになるので、階段石で造ってしまう事が多いです。
▲ 階段石で造った階段と玄関ポーチ(滋賀県大津市)
御影石が多いですが、少し茶色っぽい錆び御影をポイントで使うと、洋っぽくなりますし、ノミ切り(ノミで切るので表面がぼこぼこしている)を使うと、経年でくすんできてもいい味が出ます。ぼこぼこしているので、雨でも滑らないと、機能面も優秀です。また、石と緑は凄く相性がいいので、階段石の間から植物が出ていたりすると、より自然な感じになります。
▲ まっすぐに据えないで、少しずらして間に植栽をして、リズムよくナチュラルに。(滋賀県大津市)
普段メインで使う階段ではなければ、自然石を据えた階段もかわいらしいです。お庭のいいアクセントになります。
▲ 色々な産地の石をあえて混ぜて使っています。(滋賀県大津市)
段差を解消するのに、スロープという手もあります。ベビーカーや車椅子対応にする際は必須です。デッキ材や洗出し仕上げで造ると、滑りにくいスロープになります。車椅子対応の場合は勾配がきつく取れないので、段差が大きい場合、結構な長さのスロープとなり、最初からきちんと計画しておかないと、納まらなくなることがあります。そういう時は、外部でも使える車椅子用昇降機などを検討することもあります。
風景の変化として、スロープを提案することもあります。素材にもよりますが、階段よりソフトな印象となり、お庭のアクセントになります。
▲ 石積みでスロープの形を造り、芝で押えました。石積みに出来る変化が面白いです。(滋賀県大津市)
テラス・デッキ
お庭の悩みとして、「雑草が生えて大変」という事があります。全面芝生などの場合は、春から秋口までの半年以上は、雑草が生えてきたら抜いたり、草刈りをしたり、ご自分でやろうと思うと結構手入れが大変です。ですので、歩いたりテーブルを置いたり、使う部分は雑草が生えない仕上げをしておくと、ローメンテナンスな庭になります。
まず人気があるのは、ウッドデッキです。植威では一般的にハードウッドと呼ばれる素材をお勧めする事が多いです。国産の杉桧などに保護材を塗るのに比べて初期費用はかかりますが、メンテナンスがほとんど不要だからです。ハードウッドは、もちろん樹種にもよりますが、地中や水中でも20~30年腐らないと言われています。欠点としては、経年でささくれると、木が固い分刺さると痛いという事があるので、ハードウッドの中でもささくれにくいと言われている、イタウバという樹種を使う事が多いです。しかし絶対ささくれないとは言い切れませんので、基本的には、土足で使用することをお勧めしています。
人工木も腐りませんが、経年であまり味が出てくるといった素材ではありませんので、個人的には天然木の方が好きです。しかしささくれが心配であれば、人工木が安心という意見もあると思います。
造園の費用は現場の状況、木材の種類、デッキの広さや高さなど、諸条件で大きく違うのですが、ハードウッドで施工費を入れて、3~5万/㎡だと思います。
▲ イタウバのウッドデッキ(滋賀県大津市)
石貼りのテラスは重厚で、一味違った個性的なデザインです。広いお庭だったりすると、芝生の中にポンっと、石のテラスを造ったりします。すると、ストーリーが生まれるというか、なんとなく楽しい風景になります。もちろん、テーブルやチェアを置きやすいとか、機能的にもいいです。
造園の費用は、石の種類や貼り方によって全然違いますが、施工費も入れて3~10万/㎡くらいです。
▲ 御影石、板石のテラス。1.8m×1.8m=3.24㎡(滋賀県大津市)
▲ コッテージストーン乱貼りのテラス(滋賀県大津市)
土間コン洗出しのテラスは、型枠で形を作ってコンクリートを流し固めるので、大きい面積や、曲線のテラスにしたい時などに向いています。打ち終わってから砂利をまいて、鏝(コテ)で押えていって洗います。色粉を混ぜてタタキ風にすることもあります。広さや洗出しの仕様、色粉のあるなしにもよりますが、7千円~2万円/㎡程度だと思います。
▲ 左官工事の様子。まいた砂利を鏝で押えていっているところ。(滋賀県大津市)
素材は、選び方や組み合わせで、大きく雰囲気が変わります。機能的にはどうか、ご自身の感覚にしっくりくる素材か、家の雰囲気に合っているかなど、広い視野で考えながら進めて行くことが大切です。