希望が明確にあるご依頼だったので、希望に沿う形で問題を解決しながら、バラバラしているものを、素材を足していって繋げ、ひとつの風景になるよう考えた。

希望1、子供の記念樹を植えたい。　2、手押しポンプを、使い勝手のいい位置につなぎ変えたい。　3、奥へ行く通路が土のままなので、なんとかしたい。　4、駐車場は車二台分の轍部分を洗い出し仕上げで施工済みだったが、スペース的に三台置けるので、轍部分以外も仕上げたい。　5、玄関アプローチの一番下の枕木が腐ってきたのでなんとかしたい。

1の記念樹については、料理する事が大好きなお子さんなので実のなる木がいいと、材料屋さんの山を一緒に歩き、実際の樹形などを見ながら選定した。記念樹にジューンベリー、その他にブルーベリーと、ご自身の創作活動のモチーフにと、マルバの木を選ばれた。

2の手押しポンプは、風景としてとても良くなる要素だったので、土台をコンクリートで作り、漆喰を塗り、そこをツタがあがっていくようにと、かなり凝った作りになっている。

3の通路は、段差のない石畳と芝で押えた。歩きやすくも自然で柔らかな風景。手押しポンプの排水の砂利とも自然に馴染んでいる。　

4の轍の解決策は、砂利安定材を敷いた上に砂利敷とした。コストを抑えつつも轍との境を気にならなくすることが出来、異素材で仕上げることで奥の芝や石畳に移っていく、ソフトな繋ぎの役割をしている。　

5の枕木は、雨水が流れてきて一番たまる部分が腐りはじめ、腐ったところにまた水がたまりどんどん腐ってきたという感じだった。枕木でやりかえると枕木自体の新旧も気になるし、また10年以内に同じことになるので、真黒石という黒く丸い石で補修した。耐久性と見た目を兼ね備えた補修。木と石、異素材の組み合わせが楽しい。

日々のちょっとしたストレスを解決しながら、使い勝手と風景を以前よりも随分良くすることが出来たのではないかと思っている。