コラム

先日、行燈(あんどん)のデザインをしました。和庭に置くための屋外照明です。伝統的な形は想像がつきやすいのですが、ちょっとモダンなデザインを考えたので図面だけではなかなか分かりづらいと思い、ふと、イメージをAIにお願いしてみました。図面を読み込んで説明を入力し、数回のやりとりでなんとイメージにすごく近いものが!

▲ 伝統的な行燈のデザインではないが、繊細な格子で和モダンなイメージの行燈。
▲ 和紙の行燈をイメージ。どちらも対候性を考え木製ではなく鉄製(鍛造で人の手を感じるデザイン)。

普段、庭のプレゼンは手描きです。庭は樹木や石などかっちりしていない素材の情報量が多く、空間を感じさせながら仕様の説明や「こうしたい」という思いも込めますので、私にとってはAIでのプレゼン作成がまだ難しいと感じています(3Dソフトでの作成も検討したことがあるが、手間も時間もかかるので、結局自由に描ける手描きに落ち着いている。)。イメージパースの一番の目的は施主様にイメージを伝えることです。いくら上手いイメージでも、誇張されていたり自分の思うものと違っていては意味がありません。AI導入がなかなか難しいのはその辺のバランスだと思っています。

しかし今回、行燈デザインに当たって、これはAIでいけるんじゃないか?と、思い、試してみたら大成功!図面から「事実」を伝えられるし、「行燈の灯り」というネット上でも共通認識のようなものがあるイメージが組み合わさって、見事、イメージ通りになったという次第です。考えたり図面を描く時間はさておいて、このイメージ(2パーン)をつくるのにかかった時間はたったの30分!…すごい時代が来たな、を、目の当たりにした瞬間でした(笑)。とはいえ、やはり庭のプレゼンは手描きで思いを伝えたい。

▲ 和庭の改造、手描きプレゼンパース

ちまたで「AI」が浸透してきたのは、まだほんのここ数年だと思うのですが、本当に便利というか、すごいなぁと感心しっぱなしです。いつでも英会話の練習相手になってくれて、わかりやすく教えてもくれる。旅行で行く先も、私の好みをしっかり取り入れて一瞬で提案してくれる。いま書いているようなブログもそのうち私の考えを学習して、数秒で書いてくれるのかもしれません。(これについては色々試してみてはいますが、まだ採用には至りません(笑)。こだわらなければ良いと思うのですが、そこは寸分違わず自分の感覚にしっくり来る言葉を選びたいと思ってしまいます。)

こんなスピードで進化して楽しいと思う反面、元来気質はゆっくりしたタイプなので、これが仕事だと大変だなぁという思いも。幸い?建設、造園業はどうしても人が作業するので、なかなか現場が劇的に速く動くという事はありません。もしも作業のスピードが上がったとしても、条件の組み合わせが複雑かつ感覚的すぎて、人がある程度時間をかけて考えるという事は、どうしても重要だと思います。(AIにリスクの分析などをして貰うとか、使い方は沢山あると思いますが。)

今は人間の歴史の中で最も情報量の多い時代、そして流れがとても速い時代だと思います。でも時間は当然ですが同じなんですよね。人間以外の生き物にとっては、昔も今も変わりない。人間だけで暮らしたり、人間の事だけ考えていると、そんな当たり前の事をふと忘れてしまいそうになります。そんな時代だからこそ余計、身近に自然がある事とか、周りの人間以外の生き物に思いを寄せるという事が、とても大切だと感じています。

▲ AIに「少しだけエモくして」とお願いした植威モデルガーデン(笑)※実物とそう相違はありません