庭に畑をつくり、木を植え、芝生を張る。暮らしがとても楽しくなるような最近人気のスタイル。しかしこの庭にはその続きがあります。工事から2年後、庭の一角にできていたのは、なんと施主さま手づくりの「ナチュラルプール」。しかも、ちょっとした水遊び場ではありません。何か月もかけて穴を掘り、ろ過装置まで自作した、本格的な「泳げる庭の池」です。
そもそもの始まりは2年前。家がもう2,3件建ちそうな広い庭で、「自分たちでやるには大変なところはプロに任せ、その後はできるだけ自分たちで、楽しみながら庭をつくっていきたい」というご相談をいただきました。
最初からすべてを完成させるのではなく、まず庭の骨格になる部分を私たちがつくり、そこから先は暮らしながら少しずつ。そんなハーフビルドの庭づくりが始まりました。
最初の工事
ご希望は、庭では主に畑を楽しみ、大きな雨水タンクを設置し、芝生の部分が欲しくて好きな木を何本か植えたい。道路からの目線切りと鹿除けの塀と(現場は弊社と同じ比叡平で、比叡山の中腹にある住宅地。鹿などの野生動物が多く、畑をつくるうえでは獣害対策が大切。)、屋根のある駐輪スペースを設けたい。とのことでした。
ハーフビルドであってもそうでなくても、生活と密接な庭や外構で一番大事なのはプランです。平面や立面の骨格がきちんと考えられていると、使いやすく美しい庭になります。今回は畑のエリア、リビングから繋がるエリア、将来つくりたいエリアなどの骨格はある程度しっかりつくりつつ、フレキシブルな部分も残すバランスを大切に計画しました。お家はシンプルデザインの無印良品さん。すっきりとしたナチュラルモダンな風景も意識しました。






そして、手付かずだったエリアに「ナチュラルプール」をDIY!
※ナチュラルプールとは、塩素などの薬品にできるだけ頼らず、植物や微生物など自然の力を利用して水をきれいに保つプールのこと。オーストリアやドイツを中心に発展し、現在ではヨーロッパ各地で、個人の庭から公共施設まで取り入れられ、一般的なプールのように、庭の中に単に「泳ぐための設備」をつくるのではなく、植物や石、水といった自然の要素とともに、ひとつの水辺の風景をつくることができるのが大きな魅力。夏は水に入り、季節が変われば水面に映る空や木々を眺める。泳ぐためだけのものではなく、一年を通して庭の一部として楽しむことができる、いわば「泳げる庭の池」。
ポンドシートや砂、砂利などはかなりの重量があるため、園内道路を使ってこちらで施工場所の近くまで運び入れましたが、その他の作業は全て施主様が行いました。シート(重量180kg)を広げるときは人手が必要なので何人か手伝ってもらったそうですが、本当に気が遠くなるような作業を積み重ね、ろ過装置も自作し、水生植物も植え、水質検査でも人が泳げるレベルの水質が確認できたそうです。この夏はご家族やお子さんの友達など、たくさんの方がこのプールを楽しまれたとのこと。
泳げる庭の池、風景としても美しいナチュラルプール。普通、一般住宅の庭にはなかなか取り入れにくいと思いますが、施主様の情熱がこの壮大なハーフビルドを成し遂げたと感じます。私たちにとっても本当に勉強になった庭づくりです。池のそばで時間を過ごしていると、なんとも言えない贅沢な気持ちになりました。



私たちは、「ハーフビルドの庭」を応援しています。プロの工事ですべて行うことも出来ますが、下草類だけは自分たちで植えてみる、とか、ほんの少しご自分の手を入れてみることで、庭との距離はぐっと近くなるように思います。自分で植えた植物なら、その後の変化も気になりますし、手入れの仕方も少しずつ分かってきます。そうすると、庭の管理も「やらなければならないこと」ではなく、もう少し気楽なものに感じられるかもしれません。
楽しめる範囲で、できるところだけ。庭をつくる時間も、育てていく時間も、ぜひ楽しんでみてください。
エリア:大津市比叡平
写真撮影:中川写真映像社















